前略 母さん元気ですか?
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ザックスが手配した兵舎の見学時間が午後一番だったので、ヒルダはまず美容室に連れて行くことにした。そこでクラウドと同じカットをしてもらったのだ。ただ、髪質が違うのでクラウドのようにスクッと立ち上がる事はなかったので、その点を除けばまるで瓜二つである。

 美容院から出てきたシェリルを見たザックスは内心、非常に驚いた。
 (しっかしよぉ〜、ホントそっくりだな。後ろから見たら区別つかねぇ〜ぜ。……でもよぉ……ヒルダ、悪趣味だわ……。)

 ザックスはヒルダと二人並んで目の前を歩いているシェリルの後姿を見ながら独り語ちている。二人の女性の姿が似つかわしくない場所、ここは神羅の兵舎である。それもこの兵舎を使用するのは警備のためにジュノンから派遣されているものばかりが住んでいる。そうでなくとも殺伐としやすい兵舎が短期滞在の兵ばかりなのでいっそう荒れている感じが漂っている。
たとえザックスでもこんなところには住みたくないと思うような環境なので、クラウドをここに住まわせるなどとんでもない。どうやらヒルダもシェリルも同じ感想を持ったらしい。ザックスは密かに安堵した。これでクラウドがセフィロスと同居している事を納得してもらえそうである。

 (こんなに親身になって……俺っていい奴じゃん)

 その日一日ザックスははヒルダのお抱え運転手よろしくシェリルの観光案内をしていた。


 一方、クラウドは朝から掃除の鬼と化していた。ヒルダがいつもきちんとしているので慌てる事は何もないのだが、何もしないでいると落ち着かないので『掃除』をしているのだ。
勿論、セフィロスにそんなクラウドを笑える余裕があるはずもなく、セフィロスはセフィロスで料理の鬼となっていた。

 昨夜、帰宅した直後に書斎に篭りなにやら真剣に調べ物をしていたセフィロスであったが、今朝、クラウドが目を覚ますと既にセフィロスは何処かへと出かけた後であった。
休日の朝、たった一人で目覚めたクラウドは広いベッドの上で呆然としてしまった。こんなことは始めてである。一体、何が起こっているのか見当もつかないが、母が訪問してくる事に関係している事だけはなんとなく想像がつく。クラウドは仕方なくベッドから抜け出すとキッチンへ向かった。
 セフィロスが用意してくれた朝食を一人で済ますと、いつものように洗濯機を回してから掃除を始めたのだった。
リビングの掃除を終えて自室の掃除に取り掛かろうとしたとき、セフィロスが大量の食材を抱えて帰宅した。

 「おかえり。買い物?起こしてくれれば一緒に行ったのに。」
 物をキッチンに運ぶのを手伝いながらちょっぴり恨みがましく言ってみる。

 「あぁ、早朝に限られていたからな。寂しかったのか?」
 セフィロスは笑いながらキスをしてくる。

 「目が覚めたとき俺がいなくてもセフィは平気なんだ。」
 嫌味で切り返すクラウド。

 「さぁ……お前が俺より早起きした事は無いので判らんな。」
 それはセフィロスが絶倫だからだ!という台詞を飲み込んで、睨むだけに留めておく。そもそも口でセフィロスに敵うはずもないのだ。クラウドは話題を変える事にする。

 「ところで何をこんなに買ってきたんだ。」
 食材を取り出してるセフィロスの手元を覗き込んで呆れるクラウドである。量も半端ではないが殆どの食材が見た事もないようなものが大半であった。

 「今夜の特別メニューだ。」
 「特別メニューって?」
 「楽しみにしておく事だ。あぁ、クラウドこれは冷蔵庫へ入れておいてくれ。」

 ワインと良く似た形状のボトルを六本。それには『大吟醸・黒正宗』とラベルが張ってある。
 (大吟醸って、酒だよな。ってことはウータイ料理をするつもりなのか?)
 そう思って広げられた食材を見直すと辻褄が合う。生臭い匂いの元は魚なのだろう。

 「他に手伝うことは?」
 「今のところは無い。ゆっくりしていろ。」
 セフィロスはそう言うと忙しなく下準備に取り掛かっている。クラウドはセフィロスの背中に一瞥をくれると、小さく溜息をついて掃除に戻ったのだった。

 昼食は冷蔵庫の整理もかねて残り物で簡単に済ませ、クラウドは掃除を続けて浴室のタイルまで磨いている。セフィロスもキッチンから出てこない。すべての照明器具のホコリまで綺麗にすると、これ以上何をして良いのかクラウドには判らなかった。

 そんなクラウドにセフィロスは煮物の味見をさせてみる。
 「美味しい。」
 にっこりと微笑むクラウド。
 「そうか。あとは仕上げだけだ。少し休むか。」
 「うん。」

 今日、二人でソファーに座るのはこれが始めてだからだろうか、とても懐かしく思ってしまうのはどういうわけだ。セフィロスはクラウドを膝に乗せて髪を梳いている。これがセフィロスとクラウドにとってはお互いに心を落ち着かせる儀式のようである。ストレスで悲鳴を上げそうな心が落ち着いて行く。

 「ねぇ、なんでウータイ料理?」
 「ウータイは歴史が古いだけのことはあって様々な様式美がある。料理もその一つだ。」
 「様式美って……セフィ?何考えてるんだよ。」
 「判らないのか?連れないな。」

 こういう言い方をするときは打ち明けるつもりの無いときであることを経験上、身に沁みているクラウドはこれ以上の追求をあきらめた。それより、セフィロスの膝の上でひとときの休息を満喫する事に専念した方が得策である。
目を閉じてセフィロスの広い胸に寄り添いその規則ただしく時を刻む音に耳を傾けると本当にゆったりとした気持ちになっていく。
セフィロスも腕の中で寛ぐクラウドからもたらされる穏やかな『気』が静かに己の『気』と混ざり合い安らかな気持ちになっていく自分に気付いていた。

 手放したくない……この平穏なひととき。

 セフィロスはよりいっそうきつく抱きしめるとクラウドの髪へ顔をうずめた。応えるようにクラウドの腕がセフィロスの首へと回される。

 このまま、時が止まれば良い。

 セフィロスはそう願ったが、次の瞬間には『詮無い事を……案外俺も少女趣味だな』と自嘲する。

 「緊張してる?」
 クラウドのくぐもった声が聞こえる。
 「…らしいな。」
 セフィロスは腕を解き、クラウドの表情を覗き込むと同じように自分を探っている視線にぶつかった。

 「大丈夫だよ。」
 「そうか。」
 「うん。かあさん、セフィのこと信頼してる。」
 「何故、そう言いきれる。」
 「そうでなきゃ、夕べここへ帰ってこれなかったよ。」
 「……信頼されているとなると、かえって辛いものだ。」
 「………。」

 クラウドはなんと返事をして良いのか判らずにセフィロスを見詰めていた。
セフィロスはもう一度クラウドの髪を梳いてから話題を変えた。

 「クラウド、少し手伝ってもらわねばならない。」
 「良いよ。」
 それから殆ど物置となっている書斎のクローゼットの奥から食器が入っていると思しき箱をキッチンへ運び、ホコリを落とすように洗い始めた。
ウータイの食器は繊細なものが多くミッドガルの食器洗い機ではその絵柄が痛んだり縁が欠けたりするので手洗いするしかない。クラウドはセフィロスの指示通りにすべての食器を洗い終えた。
 その間、セフィロスはダイニングボードの上に、今朝ほど食材と一緒に購入してきた見たこともないような飾りを置いていた。

 「セフィ。これ、何?」
 「結納飾りだ。」
 「なにそれ?」

 ウータイの伝統やしきたりに詳しくないクラウドは『結納』といわれても意味が判らない。
 「あまり気にするな。ただの気休めだ。」
 セフィロスにしてみればクラウドに下手に説明して拗ねられたり、照れて反対されたりするよりは黙っていた方が安全である。

 「気休めって……でも、なんだか……。」
 「これもウータイの風習だ。……様式美の一環だと思えば良い。」
 「……良く判んないけど……まぁいいよ。」
 釈然としないまでもなんとなくセフィロスが何かを企んでいてそれを自分に打ち明ける気がない事だけは理解できた。きっと今日の食事と関連した飾りだろうと自分を納得させているクラウドである。

 セフィロスは再びキッチンへ篭り料理の仕上げをしている。クラウドはその様子を眺めては質問をしている。

 「この魚を焼いたのって随分とシンプルだね。」
 「あぁ、アイナメの木の芽焼きだ。」
 「こっちの生の魚は刺身っていうんだよね。」
 「鮪のトロ、鯛、平目、アワビにハマチ。それから車えびだ。」

 包丁裁きも鮮やかに次々と綺麗に並んでいく。
 「こっちの煮物は?」
 「鯛の兜煮。」
 「ねぇ、なんでみんな少しずつなんだ?」
 「それが懐石料理というものだ。」
 「ふ〜〜ん。でもさ、なんでこのメニューを選んだのか教えて。」
 「風習に従った様式美だといったはずだがな。」

 セフィロスはクラウドを誤魔化すので精一杯である。料理をそれぞれの器に盛り付けていることにシェリル一行が到着した。これ幸いとセフィロスはクラウドをキッチンから追い出した。

 クラウドは玄関まで出迎えてリビングへと案内する。ヒルダはセフィロスを手伝うつもりでキッチンへと向かった。そこで見た料理とダイニングにある飾りを見てセフィロスの意図を汲み取っていた。

 (本当に、この子ったら……。)
 不器用なセフィロスがいじらしい。

 ザックスは冷蔵庫の中の酒を見つけて嬉しそうにはしゃいでいる。
 シェリルとクラウドはリビングから外に出ていた。

 「まぁ、この木って本物なの?」
 「うん、不思議だろう。」
 「芝生も本物なのね。……まるで魔法ね。」
 「どうやって維持してるのか俺にも判んないんだ。時々、水は撒いているけど。」
 「……クラウド、ここでセフィロスさんと住んでいるのね。」
 シェリルに正面から射抜かれるように見詰められると苦しいものがある。クラウドは誤魔化すように言葉を搾り出した。

 「うん、俺の部屋に行ってみる?」
 「えぇ、ぜひ見せて欲しいわ。」

 クラウドの私室へ案内されたシェリルはその広さにまず驚き、良質な家具に眼を見張った。そして不自然さを感じたのだった。
確かに部屋の様子はクラウドらしさを感じるのだが、部屋の空気が綺麗過ぎてクラウドの匂いがしないのだ。
シェリルはニブルヘイムの家にまだそのままにしてあるクラウドの部屋を思い出していた。部屋の主が居なくなって二年近くたつというのにその部屋にはクラウドの匂いが染み付いている。シェリルはいつもクラウドからの手紙をその部屋で読むのだ。それだけでクラウドの声が聞こえてくるような気さえする。その匂いが無いのだ。
 シェリルはベッドの上に腰掛けてみたが、ベッドからもクラウドの匂いはしない。この部屋で寝起きしていない事は明白である。

 (一体どういうことかしら?)
 ザックスが二人を夕食の準備が出来たと呼びに来た。

 ザックスはテーブルの上にある料理を見て苦笑を浮かべて固まっている。いや、正確に言うならば、開いた口が塞がらないふりをしていながら心の中で爆笑している。
さすがにこの状況で本当に爆笑などしようものなら、正宗の露と成り果てるのは目に見えているので、必死に堪えている状態である。
ザックスとて伊達にウータイ戦を経てきたわけではない。多少の文化は理解している。

 (勘弁してくれよ〜、旦那〜。……でもって、これ全部旦那の手料理だっていわねぇ〜よな……。)
 ザックスはチラッと視線をセフィロスに送ってから再びテーブルへと戻す。そこには先付、前菜、吸い物に始まり、お造り、煮物、焼き物、酢の物、香の物まである。

 (旦那……ひょっとして…赤飯まで炊いたんすか?)
 再び視線をセフィロスに送り口を開こうとしたときにヒルダが割って入った。

 「ザックス、座って。貴方の席はここよ。」
 ヒルダはダイニングボードを背にした席を指し示す。クラウドとシェリルが並んで座わっている。その正面にヒルダとセフィロスが座っている。食前酒としてキンキンと冷やされた大吟醸が出されている。

 ザックスはこっそり溜息をついてセフィロスを盗み見た。
 (緊張してる……。あの旦那が…。これ以上笑いを堪えると俺…死ぬかもしんない。腹がいてぇ〜)

 そんなザックスの心情を見透かしているのかヒルダが軽く咳をして牽制している。ザックスはそんなヒルダの心情などまるで無視をしてクラウドを揶揄うことにした。

 「クラウド、知ってか?この豆の入ってる赤い飯はな『赤飯』っつ〜な、めでてぇ祝いごとんときに食うもんなんだぜ。……しっかし……そうやってならんでっと親子つーより姉弟だな。」
 「これは正式な赤飯ではない。炊きおこわの小豆飯だ。」
 セフィロスの憮然とした声がザックスを訂正する。

 「へっ?どこがちがうんさ。」
 「赤飯はすべてもち米で調理法は蒸す事だ。おこわはもち米とうるち米が同量で普通に炊いて調理する。調理法も材料も異なる。」
 「でも赤い飯で、目的はいっしょだろが〜。」
 「まぁまぁ、そんなことより、いただきましょう?」
 ヒルダが取り成す。

 「本当に、綺麗だし……美味しそうね。どなたが作ったのかしら?」
 「セフィロスだよ。俺に作れるわけないだろう。」
 「あぁ、そうね。クラウドは料理に……苦労したものね。」
 シェリルはクラウドが料理をあまり得意としていなかった事を思い出して笑っている。

 「ヘンな事、思い出すなよな。」
 「でも……一番初めに作ってくれたのって、焦げたパンケーキと煮しめたイチゴだったわね。あのとき、絶対この子は料理上手なお嫁さんを貰わないと飢え死にするって真剣に心配したのよ。」
 「その後、ちゃんとまともなもん作れるようになったろ。いい加減にその話、止めてくれよ。」

 親子の他愛もない昔話にザックスとヒルダは笑っているが、セフィロスにとっては笑い事ではない。
クラウドに料理上手なお嫁さん……料理は上手だがお嫁さんにはなれない。ふと真剣にそんな事を考えてしまうセフィロスである。ザックスがセフィロスの表情に気がついて笑いを堪えている。

 ウータイ料理は箸が基本だが、使った事のないシェリルのためにフォークも用意してある。ザックスも箸は苦手なので最初からフォークである。クラウドは箸の使い方を母に教えている。その間にザックスは酒を呑み始めていた。

 ザックスには目論見がある。きっと今夜、シェリルはこの家に泊まるだろう。そしてその時こっそりとセフィロスは二人でクラウドの事を話すつもりであると読んでいる。それを聞き逃す気はないザックスである。今夜、居座るためにはどうするか。酔っ払ってしまうしかないだろう。そのためにもガンガン呑むつもりのザックスである。
 ヒルダはザックスの呑みっぷり良さを心配していたが、放っておく事にした。ザックスとセフィロスの間はヒルダが心配する事はないだろう。それより、クラウドがセフィロスの気持ちにまるで気付いていない事のほうが心配である。
 そんなヒルダやザックス、はたまたセフィロスの気持ちなどまるで気付かないのか、気付いているのに敢えて気付かない振りをしているのか、シェリルはぎこちない手つきで箸を操り、セフィロスの手料理に舌鼓を打っている。クラウドも美味しそうに口に運んでいる。そんなクラウドを見詰めて、微笑んでいるセフィロスはやはり幸せそうである。

 ヒルダがさり気なく食材の話をセフィロスから聞きだしてはウータイの風習を説明している。
鯛という魚は『目出度い』という言葉と音が重なるので、祝いの席では必ず一品は鯛を使った料理が出されるとか、海老も腰が曲がるまで長寿になるようにとか。シェリルはそんな話に耳を傾けながら、見た事も聞いた事もない摩訶不思議な料理にしり込みする事もなく口にして楽しんでいる。見た目以上に豪胆な人物なのだなと感心し、またどこか『天然』ところなども、クラウドの母親なのだと妙な納得をしているセフィロスである。

 ザックスはリビングでウトウトしていた。ヒルダは後片付けの手伝いをしている。クラウドとシェリルはクラウドの部屋でなにやら楽しそうに談笑している。
 (う〜ん、ちぃ〜っとばっかし呑みすぎたか……まぁ、いいや。暫くここで休憩休憩っとな……)
 意識がだんだん薄れていく。

 リビングのソファーをザックスが占領しているのでダイニングで談笑している。クラウド達である。
シェリルはザックスの予想どおり今夜はここに滞在する事にしたようだ。ヒルダは既に辞去している。

 (しめしめ……あとは寝て待つばかりだな。)

 クラウドがトイレのために席を外したとき
 「セフィロスさん、後で二人だけで話をしたいの。」
 「セフィロスでよい。」
 大きく頷いているが、返事はしていない。しかしシェリルには通じたようである。クラウドが戻ってくるとシェリルはもう休むと言ってきた。

 「俺の部屋のベッドを使って。浴室もあるし……。」<
 「クラウドはどこで寝るの?」
 「書斎のソファーベッドを使うから、いいよ。」
 「ザックスは?」
 シェリルが心配そうに聞いている。

 (クラウドのおっかさん、やさしいなぁ〜)
 夢心地で聞いているザックス。

 「あいつの事など、心配要らん。その辺に転がしておけば良い。」
 「でも、風邪を引かないかしら……。」
 「馬鹿は風邪を引かんからな。大丈夫だ。」
 セフィロスが断言する。

 (ひっでぇ〜〜!バカなんじゃなくてソルジャーだからっしょがぁ〜!)
 寝たふりのまま、心の中で毒づいている。

 「まぁ!でも毛布だけでも……。」
 「俺がやるから、かあさんはもう休めよ。疲れてんだろう。」
 「そうね、そうさせてもらうわ。」
 シェリルはクラウドの私室へと向かい、クラウドもそれについていった。浴室の説明をするつもりなのだろう。セフィロスは書斎に向かいそこにあるソファーを簡易のベッドに直して毛布を出しておく。ついでにザックスにも毛布をかけてやった。

 (……なんだかんだ言って旦那ってば……)
 心の叫びがコロコロ変わるザックスである。

 クラウドの私室にある浴室から水音が聞こえてきた。セフィロスはクラウドにもシャワーを浴びさせるつもりだが、緊張が解けたのか随分と酔っているように見えた。

 「どうした、ん?」
 「……ん〜、このまま寝ちゃいたい気分……。」
 「風呂に入ってからにしろ。」
 セフィロスはクラウドを抱き上げて浴室へと向かった。ザックスはその会話と気配を最後に本格的に眠りについた。

 浴室で散々喘がされたクラウドは結局セフィロスの思惑どおりいつものようにセフィロスの腕の中で眠っている。母親がいる同じ屋根の下では事に及びたくないというクラウドの気持ちも理解できなかったわけではないが、アルコールの酔いもあるのだろうほのかに桜色に染まったクラウドの肌を見てセフィロスが理性を飛ばしても仕方があるまい。
それに、クラウドにはグッスリと眠ってもらわねばならない事情もある。これだけは言い張って譲らなかったクラウドを書斎にある簡易ベッドにようやく寝かしつけたのは随分と夜も深けてからだった。
ベッドの中でセフィロスの髪を握り締めて眠るクラウドをあやすようにキスの雨を降らしてから、そっと握り締められた手を解してベッドを抜け出たセフィロスであった。


         
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