セフィロス先生vv 3
「…ストライフ!クラウド=ストライフ!」
「は、はい!!」
慌てて返事して周りにドッと笑われる。

セフィロスはあの時と同じようにニヤリ笑った。
「そんなに熱っぽい目で見つめられても、愛の言葉は囁いてやれんぞ。」
「…ばっ…。」
見つめてたんじゃなくって、睨みつけてたんだって!!
真っ赤になったクラウドの内心の毒づきも知らず、
女生徒の黄色い声が飛び、男子生徒は口笛を鳴らす。
もはやこの二人のやり取りは、このクラスの名物となっていた。
くくっっと笑いながらセフィロスは黒板を指す。
「前に出てこの問題を解いてみろ。」
内心怒り心頭のクラウドだが渋々問題を解きはじめた。

…ほう、その公式だけで解く事ができるか。
内心セフィロスは感心していた。
今黒板に書いた問題は、確かに今まで教えた公式で解く事ができる。
しかし、恐ろしく面倒な手順を踏まなくてはならなかったし、その手順を教えてはいなかった。
…この子はカンがいい。
数学解くには基礎も大事だが、独特の嗅覚も必要だ。
クラウドはソレがかなり働くとセフィロスは見ている。

「これでいいですか?」
「よし、よくできた席に戻れ。」
クラウドが席に戻ると、セフィロスはクラウドの解答の横に別の公式を書きはじめる。
「ストライフの解き方でも間違ってはいないが、こんな面倒な解き方をしなくてもこの公式を使えば、答えはすぐに出てくる…」
セフィロスはいつもこんなふうに授業をすすめる。
新しい公式や、解き方を説明する時必ずクラウドに先に解かせるのだ。
それはセフィロスなりにクラウドを買っているからなのだが、当のクラウドはなんだかバカにされている気がする。
…どうせオレはあんたにかなわないよ!フン…
いつもならそのまま黙ってノートをとるのだが、今日は出会いを思い出していささか機嫌が悪かった。
「先生、その公式が正しいと証明できるんですか?」
「なに?」
「先生はいつも公式は解ってないと意味がないとおっしゃってましたが、その公式は丸覚えでいいんですか?」
不敵に言い放つクラウドが、セフィロスは可愛くてしょうがない。
「オレは、今からこの公式を証明するには一晩かかるから、これに限っては丸覚えしろと言うつもりだったんだが…」
わざとらしくそこで切ってクラウドに囁く。
「…おまえが望むなら一晩つきあおうか?夜明けのコーヒーつきで。」

腰が抜けるような甘いバリトン
一瞬静まりかえり、とたんに黄色い歓声と口笛に包まれる教室。
「け、結構です!!」
真っ赤になったクラウドを見てセフィロスは楽し気に笑う。
…可愛い、可愛すぎて虐めたくなるvv
…遊ばれてる、オレ完全に遊ばれてる…
偶然の出会いを心底後悔しているクラウドだった。


「いいなぁ、おまえセフィロス先生に気に入られて。」
「何がいいって?」
ギロりと睨まれて、級友はあわててフォローした。
「いや、大変と思うけどさ、いつも難しい問題最初に解かされて…」
「でもさ、おまえマジあいつに気に入られてるよな、他のクラスじゃめったに笑わないらしいぞ。」
「そーそ、やっぱおまえ数学の成績いいから気に入られてるんだよ。」

口々に言う級友達にクラウドは不機嫌に答えた。
「気に入られても嬉しくない!!」
「なんで?」
「なんででも!!」
…おまえらなぁ!あいつはバイなんだぞー!男でも女でもどっちでもいいんだぞ!散々人にセクハラしたあげくオレのファーストキスまで奪っちまったんだぞ!!
そうぶちまけてやりたいが、情けなさ過ぎていえない…
その上周りは、セフィロスがクラウドをからかうのを楽しみにしてきている。
バレたらどんな事になるか、おっとろしすぎて想像もつかない。
現に勘違いの女子からその手の質問を受け、うんざりしていた。
『ストライフ君は年上の男の人興味ないの?』

あるかーーー!!
もういい加減にしてくれ、オレの平和な学校生活を返してくれ…
そして、その手の女子から聞いた情報が、更にクラウドをパニックに陥れていた…
…バックバージンの意味…ソレを知ったときクラウドは絶対にセフィロスの半径一m以内に近付くまいと誓ったのだ。
それなのに、なにかとちょっかいを出すセフィロスだった。

「…ストライフちょっと来い。」
ひょいとセフィロスが顔を出した。
「なんですか?」
検を立てて聞くクラウドに、セフィロスはにっこり悪魔の笑みを浮かべる。
「ちょっと手伝ってくれ、資料の整理をしたい。おまえしかできないんだ」
…んのやろーーー!
級友達のせん望のまなざし…イヤとはいえないクラウドだった。

資料室でパソコンをうちながらクラウドは不機嫌にセフィロスに聞いた。
「何でオレばっかり使うんだ?他の奴らでもいいじゃないか!!」
ふふんと笑いながらセフィロスは答える。
「おまえ以外にこのソフトは使えん、扱いが難しいからな。」
「教えりゃいいじゃんか、最初はオレだって使えなかったぞ!!」
「おまえ以外にこんな七面倒くさいソフト教えてやる気はせん。」
「じゃあ使わなきゃいいじゃんか、こんな見たこともないソフト。」
「しかたないだろ?これはオレが作ったんだから。」

「来春、アジア、アメリカ、ヨーロッパで一斉発売だ。」
ぽろっとクラウドは手に持った資料を落とす。
いいのか!!そんな発売もされてないソフトを中学校のパソコンになんてインストールして!!
それにオレが作った?こんな凄いソフトを?
パニック状態のクラウドを後ろから抱き込む様にしてセフィロスはキーを操作した。
「心配するな、これはここではオレとお前にしか使えないように組んで有る。」
「どーやって!!」
「キーを叩く癖を組み込んだ。スピード、リズム、最初の手の位置、他にも色々とな、まぁ企業秘密だ。」
吐息がクラウドの首筋にかかり、ゾクりとする感覚が背筋を流れる。
「は、離れろよ!」
「ん?感じたか?」
「離れろ変態!」
クスクス笑いながらそのままキーを操作するセフィロス。
サラサラとした銀の髪が頬にかかり、耳元で囁かれるのは甘いバリトン、かすかに香るのはコロンだろうか?
ぴったり触れあってる背中が熱い…胸がドキドキする…
…オレこいつに毒されてきてるのかも…わーーー考えたくない!!

あせるあまりにセフィロスが、キー操作の合間さり気なく大腿や脇腹をタッチしてるのに、
気付かないクラウドだった。