セフィロス先生vv 22


クラウドは、セフィロスの頭をぎゅっと抱き締めた。
「オレ、バカなこと言ったよ…酔っ払いのたわ言だよ…」
いつも自分がそうされている様に、さらさらとした銀の髪を優しく漉く。
「ばかだねセフィロス、そんなことあるはずないじゃないか…」
熱いものが込み上げてくる…
「オレ、こんなにセフィロスが好きなのに…そんなことあるはずないじゃあないか…」

ぽたっとセフィロスの頬に雫が落ちる、自分の物ではない熱い雫…
そのままじっとしていると又一つ…そして又一つ…
そして被さるクラウドの震える声…
「オレにはあんたしかいないのに…そんなはずないじゃあないか…」
見上げると、自分を捕らえて離さない蒼天の瞳、自分が欲してやまない、温かな雫で満たされた蒼い宝玉。

「クラウド…」
「…愛してるよセフィロス…世界中であんただけを…」
セフィロスはきつく、きつく、クラウドを抱き締めた。

交わす口づけは甘い、身体中がとろける程に。
熱い、熱いクラウドの口腔…どれだけ貪っても足りない。
さっきのクラウドの一言は、セフィロスの心を一瞬でズタズタに引き裂いた。

…かつての自分の様に、身体だけで終わるつもりだったのかと…
…今さらこのオレを、あっさりそれだけで切り捨てるつもりなのかと…
…手に入れたと思ったものが、幻に過ぎなかったと…
…自分の中の、欠けたものを満たしてくれると思っていたのが、錯覚だったと…

クラウドが否定するまでの時間が、永遠に思えた。
熱い雫が落ちてきたときには、夢かと思った。
蒼い宝玉のような瞳から、あとからあとから流れてくる涙は、自分の心を一瞬でいやしてくれて…
『愛してるよ…』
そう聞いたときには、もう何も考えられなくて…
唯一無二の存在…まさにその通りだと思い知らされた。

ゆっくり唇を外して、首筋に滑らしかけ、思わず躊躇する、
さっきのクラウドの言葉が、微妙に影を落としていた。
…ひょっとして、オレはまだまだそういうつもりがないこいつに、今まで無理して付き合わせていたのかもしれない…と

常識的に考えれば、まだ触れあうだけのキスですら人生の大事件となる年齢だ、それが、自分の欲望に無理やり引きずり込んだのではないのかと…
動きが止まったセフィロスを、クラウドが不思議そうな顔をして見上げた。
憂いに満ち、儚気に揺れる翡翠の瞳…

「どうしたの?」
しばらくためらった後、セフィロスはゆっくり口を開いた。
「いや…もう遅い…先に寝ろ…」
そう言って、離れようとしたセフィロスの首を、思わずクラウドは力任せに引き寄せた。

「なんでだよ、なんで抱いてくれないんだよ!」
「クラウド…」
「オレが嫌いになったのか?さっきオレが怒らせたから、オレを嫌いになったのか?」
「バカな…そんなはずないだろう。」
「じゃあ、なぜ?」

セフィロスは、ゆっくりクラウドの手を外しながら答える。
「考えたらおまえはまだ15歳だ、まだこんな行為に溺れちゃいけない。」
「セフィロスのバカ!!」

クラウドは、外されようとした手を振払って、セフィロスの顔を捕らえた。
「今さら何言ってるんだよ!オレをここまで引きずり込んだあんたが何言ってるんだよ!!」
「だから…それはオレが悪い…」
「悪くない!…悪くない…」
そのままセフィロスの胸に顔を埋めて、今度はクラウドがすすり泣く番だった。

「…いやだ…いやだよセフィロス…今さらなかった事にしないでよ…」
「クラウド…」
「…オレがあんたに抱かれてる時、どれだけ幸せかしらないだろう?…それなのに…それなのに…」

しゃくり上げるクラウドを、困った様にセフィロスは抱き締めた。
「…それをオレに教えたあんたが、今さらそんな事言わないでよ…オレの幸せを奪わないでよ…」
クラウドは、涙で一杯の蒼い瞳で、セフィロスを捕らえる。

「初めて抱いてもらったあと、なかなか抱いてくれなくて、オレがどんなに哀しかったかあんた解ってない。」
「クラウド…」

「母さんの葬式が終わった後、狂った様にあんたに抱かれて、オレがどんなに救われたかあんた解ってない。」
「クラウド」

「抱いて、抱いてよセフィロス、オレを狂わせてよ、酔っぱらって言ったオレのたわ言なんて、早く忘れてしまってよ!」

クラウドは、するするっとパジャマを脱いだ、
ミルク色の滑らかな胸に浮かぶ、薄紅色の一対の紅点、その一つにセフィロスの唇を押し付ける様にして、頭を抱き込んだ。

「抱いて…セフィロス…愛してる…抱いて…」

セフィロスは、そこを軽く啄むと薄く笑った。
クラウドの身体が震える。

「オレを、ここまで落ち込ませる事ができるのは、お前だけだ。そしてオレをこんなに、喜ばせる事ができるのも、お前だけだ。」

そうして、噛み付く様に口づけて、クラウドを抱き上げると、ゆっくりと舌を絡めながら寝室の扉へと消えていった。


「…セフィ…セフィ…」
「クラウド…オレのクラウド…」

からみ合う熱い吐息、感じるのは互いの温もりだけ、
快感に支配され、うわ言の様にセフィロスの名を呼びながら、クラウドはぼんやりと思っていた。

…愛してる…セフィロス…世界中であんただけを…
…いいよ、オレもう…あんたの真実見せてくれたから…
…あんたの本当の心見せてくれたから…
…この先あんたと離れてもオレはきっと生きていける…
…あんたが真実求めるのは…オレだけだって解ったから…
…だから…ひとつでも多く…あんたのおもいでをちょうだい…

「…セフィ…もっと…もっとして…セフィ…」
セフィロスは腕の中の少年が何を思っているか知らない。
ただ、再び取り戻した己の幸せを貪り尽くす事に酔っていた。