セフィロス先生vv 20
「それでは、魔王と姫と記念撮影です。」
挑戦者を間にはさんで記念撮影、そのあと質問タイム。

「先生、3月まででアメリカに帰るそうですけど、そのあとどうするんですか?」
その質問にクラウドがぴくんと震えてセフィロスをみあげる。

「まだはっきりとは決めていないが…」
「じゃあ、ねえ先生恋人いる?」
「いるぞ。」
きっぱり言い切ったセフィロスに周りからわー!とかきゃー!とか声が上がる。
「じゃあ、向こうでその人と結婚するんだ?」
「おいおい、質問は一つじゃなかったのか?」
「だって、そこまで聞いたら気になるよ!!」
「ダメだ、一つまで。」
さっさと元の位置にもどりクラウドを膝の上にのせるセフィロス。

クラウドは不安げにセフィロスを見上げる。
「ん?どうした?」
「ううん、なんでもない。」

…セフィロスはやっぱり帰ってしまうのだろうか…そしてエアリスと結婚する…
それはどうしてもクラウドがきけない事だった。
…恐ろしすぎて…聞けない…

そのあとの質問は、当然その事に集中した。
「ね、先生、結婚するの?」
「希望としては、したいが相手がまだ若いからな。」
「ねえ、若いっていくつ?」
「10代とだけ言っておこう。」
「アメリカで一緒に住むの?」
「その予定だが。」
一つ一つの質問がクラウドの胸を抉る。

…オレがセフィロスとこうしてられるのは3月までなんだ…いいかげん強くならなくっちゃ…


クラスの出し物は大成功、売り上げと、有り難くもセフィロスのカンパで、お菓子や、マクド、チキン等を買って、今日だけは多めに見てくれるので教室で打ち上げ。
デジカメで撮った写真を見たり、又撮ったり、わいわい、きゃーきゃー。
その中心はやっぱりセフィロスとクラウド。
まだまだ衣装を脱がさせてはもらえない。
みんな写真を一緒に撮りたがるし、ここぞとばかりに話し掛け、触りまくる。
セフィロスも担任として、いやがったりせずにしっかりノって、つきあってくれるので、テンションは段々上がってくる。

クラウドはやっとその輪から抜け出してジュースを飲んだ。

この凶悪な衣装をはやく脱いでしまいたいのに…ったくみんなおもしろがって…

際どい衣装のまま、ふて腐れて、机の上にあぐらをかいてジュースを飲むクラウドは、かなりアブナイ。
セフィロスが、とがめるようにじろりと睨むが、本人はどこ吹く風だ。
そのうちクラスメートがやってきて、クラウドに絡む。

「だめだよ姫、行儀悪いしあぶねーぞ、そのポーズ。」
「っるせー!何が姫だ、オレは男だ。」
「まあまあ、おかげでうちのクラス大成功だし、そう怒るな、ありがとよ。」
紙コップのジュースで乾杯、べこんという情けない音も又ご愛嬌。

「中学最後に良い思い出になったよ、ほんとおまえのおかげだ。」
「ま、そう言われると、オレなんの準備も手伝えなかったし…」
ちょっと照れてクラウドは頭をかく。
「でも今年、セフィロス担任でラッキーだったよな。」
「う、うん。」
ちょっと口籠りながらクラウドは答えた。

「あいつ進路の事で相談すると、結構親身になってくれるんだぜ。」
「うん、知ってる。」
「そうだよな、クラウドはお気に入りだもんな、結構あいつのプライベート知ってるんだろ?」
どうやら、こっちを聞きたかったらしい。

「実は夏に、あいつが女連れて歩いてるの、見た奴がいるんだよ。」
クラウドは、知らずに身体が強ばるのを感じた。

「クラウド知ってるんじゃない?こうカールしたロングヘアーで、栗色の髪なんだって。」
「知ってるよ、きっとエアリスさんだ、あいつの婚約者。」
「へえ、やっぱほんとだったんだ、かなり親し気だったっていってたもんな、美人?」
「美人で良い人だよ…」
クラスメイトは、途中からクラウドの瞳に、陰が落ちたのに気付かない。
「へえ、卒業式にはみんなで、彼女とのペアセーターでも送ろうか?」
「そうだね。」
クラウドは、力なく微笑みを浮かべた。



家にもどると、セフィロスは聞いた。
「疲れたろ?先に風呂に入るか?」
「ううん、セフィロス先に入っていいよ、オレ、これ片付けてるから。」
「…それ、持って帰ってきたのか…」
セフィロスはなんとも言えない顔をする。
「あんたが買いそろえたんだろーが!」
「そりゃ、そうだが…」

魔王と姫の衣装…今日の記念にと押し付けられたが、何に使えというのだろうか?

「エアリスさんにでもやる?」
セフィロスはとんでもないと、手をひらひらさせる。
「やめてくれ、あいつにそんなもの見せたら、おもしろがって一日着て、その辺飛び回るぞ。」
「そんな人なんだ…じゃこれどうしよう?」
「まあ、そのうち思い付くだろ、じゃあ先に風呂に入るぞ。」
実はセフィロスは、使用法をとうに思い付いているのだが…言うわけにはいかない。


風呂につかりながらセフィロスは思う。
…明日から休みだ、しかも3連休だ…という事は少しぐらい無理させても、構わないんじゃなかろうか?

しかし、別のもう一人の自分がソレを非難する。

…いいのか?又タガが外れるぞ、セーブできる自信はあるのか?クラウドはまだ15歳だぞ。

二日間たっぷり腕の中で、あの凶悪な衣装を着たクラウドを見てきた。
ここが学校のしかも公衆の面前じゃなかったら…と何度思った事だろう。

…せめて、あの首輪と手錠だけでも使ってみたい…クラウドの白い肌にさぞ映えるだろう…

彼だってしょせん21の成人男性だ、恋人の扇情的姿を見たいと思うのは当然の欲求だろう。

…しかし…あいつはまだ15歳だ…そんなプレイはさせられん…しかし…

欲望と理性のはざまで悶々と思い悩み、溺れそうになるセフィロス先生だった。


クラウドも衣装を見ながら考える。
…これどうしよう…セフィロスのはいいとして、こっちはホント困るよな…でもブーツとか高そうだからフリマとかに出したら売れるかも…
こちらは健全な中学生らしく、しごくまともな使い方を模索していた。

RRRRR……
電話が鳴った。
留守録が作動するまで待つ。
『セフィロス?留守なの?この時間なら帰ってきてるでしょ?』

…エアリスだ…
『ねえ、クラウドいたら出てよ,セフィロスと同居してるの知ってるんだから、出なかったら今度会った時虐めちゃうぞ!』
クラウドはぎょっとして思わず電話に出た。
「もしもし…」
『あ、クラウド?セフィロスは?』
「今お風呂に入ってます。」
『へえ、そうなの、じゃセフィロスに言っといて、お家見つかったよって』
「家?」
『そ、セフィロスが帰ってきたときに住む家、お庭もあるし、セキュリティもばっちりだし、内装は若干モダンだけどセフィロスの好みだよ。』
「やっぱり帰るんだ…」
クラウドはため息を一つついた。

解っていた事だけど…事実を突き付けられるとつらい…
『あ、ひょっとして聞いてなかった?ゴメンセフィロスには内緒にしといて、又おしゃべりって言われるから。』
「は、はい。」
『でもね、ほんと素敵なおうちなんだよ、きっと気に入るよ、大学までも近いし…』
「大学?セフィロスは大学に戻るんですか?」
電話の向こうで、エアリスが舌打ちする。
『あのバカ本当に何にも話してないのね、今度とっちめてやろうっと…あ、私のウェディングドレスデザインできたの!すっごく素敵なんだから!!』
「そうでうか、おめでとうございます。」
『うふふ、ありがとう、じゃね、絶対電話してってセフィロスに言ってね』


幸せそうなエアリスの声…
きっと、セフィロスが帰って来てからの、幸せな毎日を思い描いているんだろうな…
その頃自分は?

憂いを込めた、ため息を我知らず吐き出したとき、セフィロスが後ろに立っていた。
「電話か?」
「うん、エアリスさんから、絶対電話してって…」
「他に何か言ってたか?」
「あ、べつに…」
「そうか…風呂入るか?」
「うん…」

風呂に消えたクラウドが、なんとなく元気がない。
疲れているのか?と思いながらため息をつく。

まだ、自分の中で理性と、欲望の折り合いが付いていないのだ。
…しかたない、エアリスにでも電話するか…あいつと話せばこんな気もそがれるだろう。
渋々受話器を手に取る。

かけた瞬間エアリスに、しこたま怒られるとも知らずに…