| Je te veux… ずっと一緒に… |
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| 雲一つない青い空、夏の太陽はさんさんと殺人的に照りつける。 その強烈な光線に、負けじと咲き乱れる一面の花、花、花… 入り口のアーチに、ツタの様にからんで一際鮮やかにオレンジ色を主張するアメリカのうぜんかずら、 一歩足を踏み入れると、レンガを埋め込んだ道の両脇にブルーサルビアと、サルビアが交互に植えられている。 その奥には色とりどりのグラジオラス、背の高いカンナの赤と、ひまわりの強烈な黄色は夏の日差しに競合するかのようだ。 …この教会はいつきてもお花であふれているのよ… エアリスの言った事は嘘ではなかった、真夏に花を維持するのは難しいと聞いた事がある、よほど丁寧に管理されているのだろう。 どの花も瑞々しく元気に、この黄金色の日差しと熱に競う様にあでやかに… そして今日も結婚式があるのだろう、着飾った人たちがざわざわと集まり始めていた。 強烈な日差しと花々の競演、その中でそこだけ空気が違う様に涼しげに微笑むセフィロスに、クラウドはいぶかしげな視線を送った。 「解らないよ、お花でもわけてもらうの?」 「おまえ、今日が何の日か忘れたのか?」 「何の日って…」 クラウドが考え込んだ時に、人々の中から元気な少女が飛び出して来た。 「もうおそーい!なにやってんの二人とも!!」 ピンク色に咲くポーチュラカを、踏まない様に気をつけて走ってくるのは薄いグリーンのレースのドレスを着たエアリスだった。 「え?エアリス、何やってるんだこんなとこで、今日うちにくるって…」 言いかけたクラウドに、最後までしゃべらせずに、エアリスはまくしたてる。 「もう、こういう時はもっと早く来るのが常識なんだよ、心配したんだから!何やってたの!?」 「何って…」 思わず赤くなって言いよどむクラウドをちらっと見て、エアリスがセフィロスをにらみ付けた。 「セフィロス!今日が何の日か知っておきながら、又ふらちな事して来たんでしょう!?」 「何がふらちだ、愛し合っていうのなら当然の行為だ、それともおまえもザックスと毎日ふらちな事をしているのか?」 セフィロスは涼しげに笑いながら、クラウドを後ろから抱きしめる。 「別に毎日してないって…何言わせるの!このスケベ!」 ぱこーんとバッグでセフィロスを殴りつけるエアリスを、クラウドはあんぐりと口を開けて見ていた。 …えーっとオレ、もっと早くここにこなきゃ行けなかったのか? 「あの…オレ話が見えないんだけど…」 おずおずと聞いてくるクラウドに、エアリスはしまったという顔をする。 「そうそうこんな事している場合じゃないんだよ、早く来てよ二人とも、こっちこっち!」 ほとんどエアリスに引きずられる様に、クラウドは教会の裏手につれていかれた、その後をセフィロスも続く。 「ここで着替えさせてもらってね。」 裏手にある家の一室でエアリスが言った言葉に、クラウドはきょとんとした。 「着替えるって…なんに?」 「…セフィロス…ひょっとして言ってないの?」 「ああ、びっくりさせてやりたかったからな。」 そう言ってセフィロスは、いたずらっぽくクラウドの頬にキスをする。 「セフィロス、オレ本当に何なのか解らないんだけど…」 「クラウド、今日は何日だ?」 先ほどの問いを思い出し、考えてみる。 「えーっと今日は確か、11日…あーっ忘れてた、オレの誕生日だ。」 「そう、16歳おめでとうクラウド。」 楽しげにもう一度キスをするセフィロスに、クラウドはにっこり微笑んだ。 「そうか、でもセフィロスこんなとこでオレの誕生会なんてするの?大げさだよ。」 「違うぞ、クラウド…」 セフィロスの形のいい指が、ゆっくりとクラウドの唇を押さえる。 「結婚式だ、おまえとオレの。」 数瞬間クラウドは固まった… 今セフィロスはなんて言った? 「ここの牧師様に聞いたら、ちゃんと男同士でも式を挙げて下さると言うので、お願いしたんだ。」 「…でも…なんで今日なんだ?」 楽しげに話すセフィロスに比べ、まだぽかーんとしているクラウド、エアリスはおかしくってたまらない。 …本当にこの二人ったら、ラブラブなんだから♪ 「やっとおまえが16歳になった、これでちゃんと法律にのっとって結婚できる、長かったんだぞ今日まで待つのは。」 「法律?」 「本来なら16歳未満との性行為は禁止だ、だから結婚できるのは男女共に16歳からなんだ、解ったか?」 「でも…セフィロス…いいの?本当にいいの?カミングアウトして?」 不安げに見上げるクラウドを安心させる様に、長い指が、金色の髪を愛しげにすくいあげた、そして翡翠の瞳が少し自信なげにクラウドの顔を覗き込む。 「オレはおまえの他に要る物は何もない、オレこそ聞きたい、よかったか?おまえには勝手にカミングアウトさせる事になるんだが…。」 …セフィロス… 返事の代わりにクラウドの蒼い瞳に、みるみる涙がにじんできた、それをセフィロスはゆっくりと唇で吸い取っていった。 「…いやなはず…ないだろ…セフィロスの…ばか…」 ますます溢れてくる涙…頬をつたうそれをセフィロスは穏やかに微笑んで、唇で受け止めるのを続ける。 …クラウド、おまえは知らない、オレがどんなにわがままか… 大学の研究室に入らせる前に、どうしても式を挙げたかった、世間にクラウドは自分だけの物だと認めさせたかった。 エアリスの結婚式の時に、どんな思いでいたのかおまえは知らないだろう? 「はいはい、そこまで、そこまで!時間がないって行ってるでしょ?」 ささっとエアリスが割って入る。 「クラウドの服はこっちね、セフィロスのはそれ、はやく着替えてよ、お客さままたせるの失礼でしょうが。」 クラウドはもとより、セフィロスでさえ首をすくめて服を受け取る、本当にかなわない。 いつの間に作ったのか、クラウドの服は真っ白のスーツだった。 ピンタックをよせたパールホワイトのシルクのシャツと、腰には鮮やかなブルーのサッシュベルト。 ハリのあるサテンの上着は丈がウエストまでしかなく、ぴったりとした細身のパンツと相まって、クラウドの腰の細さを強調させる。 「よく似合うぞ。」 笑いながらクラウドの胸に白百合の花をさすセフィロスは、対照的に黒のタキシード。 特にどうと言う事もない普通のポピュラーなデザインなのに、セフィロスが着るとそこに大輪のバラが咲いたように華があるのはどうしてだろうか。 いつも垂らしているだけの銀髪を一つにくくって、黒のシルクのリボンでまとめている姿に見なれないせいもあるのだろうが、クラウドは思わず見とれてしまった。 「もう…あんたはいつだってオレをびっくりさせる…」 頬を紅潮させて、うつむき加減に呟くクラウドの顎をゆっくりと持ち上げる。 蒼い蒼い蒼天の瞳、今日の青空よりも鮮やかな…自分を虜にして離さない、この世の何より大事な宝玉… 口唇にゆっくりキスを落としながらセフィロスは囁いた。 「逃がさないぞ、もう一生…」 「…あんただけのものだよ、もう一生…」 教会のステンドグラスから差し込む陽射しは、今日の日を祝福する様に色鮮やかに輝いていた。 パイプオルガンの音とともに、クラウドがセフィロスと共に入室する。 本来なら付添人と共に入室するのだが、クラウドに両親は既になく、セフィロスは絶縁状態だ。 ザックスがその役を買って出たし、エアリスやその両親も寂しそうではあったが、この先二人で生きていくのを周りに示すためにも、あえて付添人は断った。 祭壇のまえに二人で立つと、牧師様が厳かな声で式の始まりを告げた。 「今日の良き日に、新しいカップルが誕生する事を嬉しく思います。では、みなさん席を立って下さい、賛美歌を歌いましょう。」 いつくしみ深き 友なるイエスは 罪と憂いを 取り去りたもう… 聖歌隊と共に参列者の歌声が流れる、この中の何人が本当に自分達を祝福してくれるのだろうか? こころの嘆きを 包まず述べて などかはおろさぬ 負える荷物を… 少し不安になって、となりのセフィロスをちらりと見る、譜面を追う伏せた銀色の睫毛、真面目腐って賛美歌を歌う涼しげな口元…こんなに真剣な顔はめったにしない。 いつくしみ深き 友なるイエスは われらの弱きを 知りて憐れむ… こんなに大事にされている、こんなに愛してくれている… 悩みかなしみに 沈める時も 祈りに答えて 慰めたまわん…アーメン… 愛してるよ、セフィロス…ずっと…一生あんただけだよ… クラウドは思う様に歌えなかった…涙があふれそうで… 「愛は忍耐強いのです、愛は情け深く、ねたみません。 愛は自慢せず、高ぶりません。 例を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱きません。 …愛は決して滅びません…」 普段は白々しく聞こえるそんな聖書の一節が、しみじみと心に染み込んでいく。 生きていくんだ、これからずっっとセフィロスと二人で… 「では誓約の式を始めます。」 牧師が二人を向かい合わせる。 「父と子と精霊の御名において、なんじセフィロス、あなたはクラウドを病める時も健やかなる時も、彼一人を生涯愛し、伴侶として守りぬく事を誓いますか。」 「はい、誓います。」 セフィロスが正面からクラウドの瞳を見据えて、即座に答えた。 「なんじクラウド、あなたはセフィロスをがどのような苦難に遭う時も、彼一人を生涯愛し、伴侶として支えていく事を誓いますか。」 「はい、誓います。」 クラウドも正面からセフィロスを見据える。 「では指輪の交換をおこないます。」 牧師が指輪に祝福をあたえ、セフィロスに渡す。 あの日セフィロスからもらった大事な指輪、あの時と同じ様にゆっくり薬指にはまっていく。 …これもらった状況知ったら、牧師様卒倒するだろうな… 思わずふらちな事を思い出してくすりと口元に笑いが浮かぶと、セフィロスも同じ事を思ったのだろう、口元が『ばか』と小さく動いた。 続いてクラウドがセフィロスの指に指輪をはめる、いつも自分の頬に優しく触れ、時にはいたずらをする、愛しい長い指に… 「では誓いのくちづけを。」 いつものようにセフィロスの指が顎を捕らえる、くいっと上を向かされ、魅了してやまない翡翠の瞳が視界一杯に広がる。 …愛してる、セフィロス…愛してる… そのくちづけは誓約にしては少しばかり長過ぎて、牧師様がコホンと小さくせき払いをし、参列者の笑いと拍手を誘った。 教会に祝福の鐘が鳴り響く、一歩外に出たとたんにおめでとうの声と、ライスシャワーの雨に見舞われた二人は夏の陽射しより鮮やかに微笑むと、もう一度くちづけをかわした。 参列者のため息が出るほど深ーく。 back top next 引用 賛美歌312番 祈祷 新訳聖書 コリント人への第一の手紙 13章4節〜13節 |
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