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前略 母さん元気ですか?
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翌朝、クラウドはいつもと同じようにセフィロスの腕の中で目を覚まし、これは一体どうしたことかと首を捻っている。 「目が覚めたのか?」 「ぁ…おはよー。なんで俺、ここで寝てるわけ?」 セフィロスはこれまたいつもと同じように寝癖でクシャクシャの髪を梳きながらクラウドの顔中にキスを降らせて囁くようにおはようと言っている。 「だから!なんで?」 クラウドが実力行使で髪を引っ張って答えを強請る。 「朝から乱暴だな。お仕置きされたいのか?」 「馬鹿なこと言ってないで、教えろよ。」 「お前が寝惚けて、こっちに来たのだ。」 「うそ!」 「嘘ではない。二人も証人がいる。」 二人と言ったらザックスと母親の事ではないか。クラウドは青くなって言った。 「……うそ。」 「心配するな。」 「だって……かあさん、何だって。」 「お前が甘える事が出来るようになって安心したと言っておられた。表情も豊かになったとも笑っておられたぞ。」 セフィロスがクラウドと額を押し当てながら優しく囁く。 ドアにノックの音が響く。 「朝ご飯の用意が出来たわよ。」 シェリルの声が聞こえる。クラウドは慌ててジタバタとセフィロスの腕から逃れようともがいたが、かえってしっかりと抱きこめられてしまった。 「安心しろ。ザックスと違って息子達の寝室に入ってくる程、無神経ではないぞ。」 「息子…達……?」 「あぁ、シェリルはそう理解したようだ。」 「…それって……なんか…………うれしいかも…。」 「そうだな。うれしいな。」 セフィロスはクラウドにホンの少しだけ朝には不似合いな口付けをすると 「ザックスが邪魔しに来る前に出て行ったほうがよいだろう。」 「うん。」 嬉しくもあり照れくさくもあり、心中決して穏やかであるわけではないが、母が息子達と言ってくれたことに深い愛情を感じたのだ。 自分とセフィロスの関係を認めてくれただけでなく、セフィロスをも受け入れてくれた。クラウドはそうシェリルの言葉を理解した。そしてそれは間違ってはいない。 ある晴れた麗らかな春の日曜のことだった。 シェリルは月曜の朝、ヒルダに見送られてジュノンへの長距離バスに乗り込んだ。 セフィロスが神羅のヘリでニブルヘイムまで送ると言ったのだが、シェリルが首を縦に振ることは無く、来るときに持ってきたボストンバックより遥かに大きなスーツケースにクラウドが着れなくなった『クラウディ』の服を詰め込んで、息子にお土産を貰ったと嬉しそうに手を振って帰って行ったのだ。 でも一番の土産は三人で移した写真だったのかもしれない。 写真はクラウドとシェリルが並びその後ろにセフィロスが立っている。セフィロスがいつの間にか購入していたデジタルカメラで撮影し、高画質プリンターで打ち出したものだ。 無事に家に着いたシェリルは誰の目にも触れる事の無かった一枚の古い写真を取り出してきて、それぞれフレームに入れて寝室のドレッサーの上に飾った。 二枚の写真には月日の流れを感じさせる同じ三人が微笑んでいた。 そして、ベッドに腰掛けて漸くセフィロスから貰った結納の目録に目を通す。 ニブルヘイムの家に着く前に絶対に開けて見てはいけないと約束させられた目録である。 そこにはたった一文、 『贖(あがな)いは己が命』とあった。 「…不器用な子ね。」 泣き笑いのような表情を浮かべてシェリルは、低く呟き再び視線を写真へと戻したのだった。 そして今度こそ、離れる事の無いようにと強く願うのだった。 back top |
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