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前略 母さん元気ですか?
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三者三様の夕食がもうそろそろ終わろうかという頃、ヒルダが到着した。 開口一番、ヒルダが言った。 「デザートを持ってきたわ。コーヒーを淹れて頂戴な。」 これまた緊張感の無い台詞である。ヒルダの視線に促されてクラウドが立ち上がりキッチンへと向かう。ザックスもヒルダの支持でテーブルの上を片付け始めた。二人が働き始めたのを確認してセフィロスをリビングへと誘う。<BR><BR> BGMとしてゆったりした曲を選び会話があまり聞こえないように配慮してからセフィロスに尋ねる。もっともソルジャーのザックスにはあまり役には立たない配慮であるが。 「如何したいのかしら?」 「此処に住んでいることは明かすべきだ。」 「そうね、今からクラウドと多少の荷物を持って帰っても母親の目は誤魔化せないわ。素直に此処に住んでいることを話す方が良いわね。」 ヒルダ視線がそれから?とセフィロスを促す。 「神羅の事も簡単に差しさわりがない程度に説明する。」 「なるほど、それで住所を偽っていた説明になるわね。」 「……。」 その後は、言葉が出ない。ヒルダは小さく溜息を吐いてセフィロスに話しかける。 「セフィロス、貴方しだいなのよ。貴方がどうしたいのかそれによって私たちの動きは変わるわ。判るわね。」 「あぁ。」 「それで如何したいのかしら?」 「クラウドの意思は?」 「確認すればよいことよ。二人で話し合うことね。明日の14時なら私が出迎えるわ。そして一旦、私の家に連れて帰ることにしましょう。そのとき神羅のことを私から簡単に説明するわ。クラウドの出身はニブルヘイムだったわね……神羅のことを少しは知っているかもしれないし……。」 「あぁ、たしか魔晄炉があったな。」 「そうよ、一番古い魔晄炉があるの。」 淹れ立ての香ばしいコーヒーとヒルダのデザートを持ってクラウドとザックスがリビングへと入ってきた。 「あに、コソコソ内緒話してんだよ。」 ザックスが絡んでくる。 「ザックス、一般兵舎への出入りは厳しいのかしら?」 「知り合いがいればそんなことねぇよ。」 「土曜日にでも見学に行きたいの。」 「了解。」 ヒルダの意図を了解したザックスである。クラウドは本来ならば一般兵舎に住むはずなのだが、そこがどんな環境かしったら母親としてはクラウドが此処に住んでいることを納得するしかないであろう。流石はヒルダ、抜け目のない側面サポートである。 ヒルダはクラウドを見詰めてにっこりと包み込むような柔らかな微笑を浮かべて尋ねた。 「クラウドはどうするつもり?」 「……どうって…。」 「今、セフィロスと話したのだけれど時間が無さ過ぎるわ。この際正直に此処に住んでいることを話した方が良いと思うの。それと手紙では書けなかった神羅のことも説明した方が良いわね。」 クラウドは不承不承頷かざるを得ない。 「明日のお出迎えは私がするわ。貴方達は仕事があるでしょ。それから明日の夕食は私の家に来て頂戴ね。お母様はうちに泊まっていただくことにするわね。」 ヒルダが思い出したようにクラウドに尋ねた。 「お母様の写真、持ってるのかしら?」 クラウドは首を横に振る。 「そう……困ったわね。どうやって探したらいいのかしら……。」 「そのことなら心配ないと思う。……俺、母さんそっくりだから。瞳の色は違うけど、髪は俺と同じブロンドに染めてるし背もあんまり変わらない。あっ、でも今は少し母さんの方が小さいかも…。」 クラウドの言葉に三人がクラウドを見詰める。 「なぁクラウド。おっかさんっていくつだ。」 「32。」 クラウドにとっては当たり前の数字だが、セフィロスにとっては仰天するような数字である。クラウドとの年齢差と母親との年齢差では、母に近いとは……。 複雑な心境のセフィロスである。そんなセフィロスを見て大笑いするザックス。 「えっ?なんか変?」 「変、つーことたぁねぇ〜けどな、若いんだな。お前のおっかさん。」 「あぁ。18で生んだんだ、俺のこと。」 クラウドにしてみれば当然の事実であって何がそんなにおかしいのか理解できない。ザックスはニタニタとしながらセフィロスを見て追い討ちをかける。 「旦那、正月過ぎたんだもんな。てぇことは…27になったんかな?」 「五月蝿い!」 「この際、おっかさんと結婚してクラウドを養子っつーってぇ!いてぇじゃねぇか。暴力反対!」 「自業自得だ。口を慎め。」 ヒルダは笑いを噛み殺しながらクラウドに確認する。 「そう、髪の色はブロンドなのね。瞳の色は?」 「茶色……明るい日差しの中ではヘーゼルと言えなくもないけどね。……俺は茶色だと思う。」 「判ったわ。クラウドにそっくりで茶色の瞳をした人を探せばいいのね。」 大きく頷くクラウドを確認したヒルダはこれ以上何も話すことは無いと言わんばかりに立ち上がり 「明日、うちに来てね。着替えてからいらっしゃいね。ザックス、貴方もよ。いいわね。」 そう言ってザックスを引っ張るようにして帰って行った。 残されたセフィロスはクラウドを定置に抱き寄せるといつものように髪を梳く。 「何か言いたいことはあるのか。」 「……う〜ん、此処に住んでるって言ったらね……なんとなく判っちゃうと思うんだ。」 「隠したいのか。」 「隠したい……訳じゃないけど、カミングアウトも照れ臭いし………。」 「そうか……そうだな。」 「セフィは如何したい?」 「俺か?……お前の母親に対して隠し事はしたくないと思う。」 「じゃ、カミングアウトするってこと?」 「お前しだいだ。」 「それってずるいよ。」 「……確かに、ずるいのかも知れんな。」 そうだよ、と呟きながら横を向くクラウドの口元はやはり誘っているようにしか見えない。セフィロスはクラウドの顎に指をあてその顔を自分へと向けると、クラウドが文句を言う前にキスを落とした。 「俺はずるい大人だ。……嫌いか?」 唇を解放して尋ねる内容もずるいものだ。 「また……嫌いだっていえないこと知っててそんなことを聞くんだ。本当にずるい。」 上目遣いで睨んできてもクラウドの瞳は奥にある隠しても隠しきれないセフィロスへの情念(おもい)が煌いている。 「本当にずるい。自分は好きだって一度も言ってくれないのに……俺にばっかり言わせて。」 「ならば嫌いなのか。ん?」 「……嫌いになれない。」 「素直でないな。」 「どっちが。」 クラウドはセフィロスの首に両手を絡めて自分からキスをした。幼い子供が甘えて親にするようなキス。クラウドからの精一杯のお誘い。 セフィロスはクラウドを抱いたままそっと立ち上がって寝室へと向かったのだった。 back top next |
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