楽しい家庭の経済学

「セフィロス、これ何?」
クラウドが、手に真新しいマヨネーズの容器を持って、セフィロスの前にブラブラさせた。その顔はむすっと口を一文字に結んでおり、明らかに怒った顔だ。

「何って、マヨネーズだが…」
セフィロスは、きょとんとしてクラウドの顔を見る。

こうして二人で時の虜囚になって、彷徨う様に各地を渡り歩く様になってどのくらいだろうか?
かなりの年月が経ってしまっている、ちょっと考えないと思い出せないほど。
それなのに、未だにセフィロスはクラウドに怒られる、この少々変わった育ち方をした元英雄は、生活人としては時々とんでもない天然ぶりを発揮してくれるので、その度にクラウドに怒られるのだ。
しかも、本気で何が悪いのか解っていないから始末が悪い。

今回もセフィロスは何でクラウドが、マヨネーズを持って怒っているのか、とんと理由がわからない。

「そのマヨネーズがどうかしたのか?昨日ストアで安売りしてたから買ってきたんだが。」
「どうかしたのかじゃないよ!うちにはマヨネーズの1キロ入りが、あと2本も戸棚に入ってるんだよ、それなのにこれどうするの!」
「どうって食べればいいじゃないか。」
「じゃあ、あんたが食えよ、3キロ分のマヨネーズ!今月中に!」
「なんで今月中だ?」
「これも、うちにある2本も、賞味期限が今月中なんだよ、だから安売り製品にはあれだけ気をつけろって言ったのに。」
クラウドは怒りのあまり、ぷるぷる震えてる。当たり前だ、先週もバターで同じ事をやらかし、怒ったばかりだ。

「だいたい、どうしてこんなにマヨネーズばかり、安売りで買ってくるんだよ。」
「だってそのマヨネーズ、おまえが『このマヨネーズの味すごく好き』って、言ったじゃないか。」
何の悪びれもなくそう言うセフィロスに、クラウドはぷちっと切れた。

「だからと言って、マヨネーズばかりこんなに買ってどうするんだ!ちったー考えろよ、もったいないだろう?無駄になるんだよ、経済性ってものを考えろよ!あんたの頭には経済学は詰まっていても、こんなあたりまえの事が解らないのか!」

がみがみと怒るクラウドに、セフィロスは少し、いや、かなり不満だ。
クラウドが好きだと言ったから、たくさんあった方がいいなと思っただけだ、そんなに怒らなくてもいいではないか。この前農家でバター10キロ買いをした時だって、クラウドがレストランでうまいと言ったから、わざわざ探して買ってきたのだ。小売りはしないと言うから、10キロ買っただけなのに…
その前のソーセージの20キロ入りを買った時だって…

「聞いているのかよ、あんた!だいたい物の価値を知らなすぎ!こうしていらない物を買っちゃうと、ゴミになるしかないんだよ、生ゴミだよ、経済的じゃないよ。それに食べ物だけじゃないだろう?ベッドサイドテーブルにある食玩、シリーズ揃えたんならもう買うなよ!」
セフィロスは何故か最近チョコボの食玩に嵌ってる、海チョコボに山チョコボにデブチョコボ…他、ディフォルメバージョンや、子供バージョンがあって、それを一シリーズ揃えた後も又買ってくるのだ。

「いや、あれは微妙に彩色の具合で顔が違っててだな、可愛いやつとか、りりしい奴とか…」
「いい加減にしないと全部捨てちゃうよ、神羅にいた頃みたいに、かぱかぱお金を使うなよ、経済状態が全然違うって自覚ある?」
ぽんぽん言うクラウドに、セフィロスは段々腹が立ってきた。

それじゃあ、俺がまるで甲斐性がないみたいじゃないか。

まあ、確かに自分はあまり金の事は考えずに暮らしてきたが、最近クラウドは怒りすぎじゃないか、もう少し俺の気持ちも考えてくれたって…知り合った頃はあんなに可愛かったのに…と考えながらセフィロスは、ふと思いついてほくそ笑んだ。

「ちょっと聞いてる!セフィロス??」
「ああ、聞いてる、確かに俺が悪かった、マヨネーズは俺がどうにかする、バターもどうにかしよう。」
あんまり素直にセフィロスが謝るので、クラウドはイヤな予感がした、こういう時は、とっとと撤退するに限る。

「わ、解ればいいんだよ、解れば。」
そう言って、回れ右をしようとしたクラウドの手首を、セフィロスがぐいっと掴んだ。
「な、何だよ。」
にやりと笑った端麗すぎる顔に、心底悪寒を感じながら、おそるおそる聞くと、セフィロスは、そばの引き出しから、ごそごそ何かの箱を取り出した。

「いや、実は以前、ドラッグストアに行ったら、これの宣伝販売やっていてな、おまけにチョコボのマグカップをくれると言うので、一箱買っていたんだ、で、必要ないからしまっておいたんだが、これの使用期限がもうすぐ切れるんだ。」
「使用期限って、それにそんなものあるのか!」
クラウドは思わずどなった、セフィロスが出した箱は、どうみても、正しい家族計画には絶対に必要なゴム製品、言わずとしれた○ンドー○だ。

「ゴムの劣化とか、周りについている潤滑剤の性状変化とかあるんじゃないか?」
淡々と楽しげに言うセフィロス、クラウドは背中に冷や汗が流れる。

やばい、これは完全撤退だ!

「そう、でも俺達には必要ないし、あ、俺やる事あったんだ。」
ふりほどこうとした手を、セフィロスはがっちり握って離さない。
「クラウド、使わないと、もったいないと思わないか?これは潤滑剤に、媚薬が混ぜてあるそうだから、使うとかなりイイらしいぞ。というわけで、消費するのに協力してもらおう。」
セフィロスは、たちまちクラウドをソファーに、組み伏せた。

「ちょっと待てー!その期限っていつまでだよ!」
クラウドはジタジタと抵抗するが、この時点ですでにあっさりシャツは脱がせられ、巧みな唇と舌の動きに、しだいに身体の力が抜けてくる。
「今日中。」
しっかり右手をファスナーの中に滑らせながら、セフィロスが楽しそうに囁いた。
びくっと身体を震わせて、クラウドが声を殺して再度聞く。
「…あ…何個入り…だよ…」
「2ダースだ、たっぷり楽しめるな。」

冗談じゃねーーー!

胸の果実を舌で転がしながら、楽しそうに言うセフィロスに、すでにまともな声が出せなくなったクラウドの叫びは、聞こえなかった。


その後しばらくはセフィロスが、クラウドに怒られる事はなかったと言う。

                       合掌(笑)




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