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| Happy Valentine | ||||||||||||
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| 「うーん、困ったな…」 セフィロスは、とぼとぼと歩きながらため息をついていた。 片手にはチョコレートの箱と、大きな薔薇の花束、それぞれにはピンクのカードに金文字で「Happy Valentine 」と書いたカードが付いている。 そう、今日はバレンタインディ、クラウドにこれを渡せばきっと喜んでくれるだろう、きっと… 喜んでくれるかな… いつもに比べて自信なさげなセフィロス、実は理由がある、夕べ喧嘩したばかりなのだ。 『いいかげんにしろ!もうあんたなんか知るか!!』 耳に残るクラウドの声、柳眉を逆立てて怒りまくる顔。 とりつくシマもなかったな… どうしてこんな事になったのかと言うと…ちょっと調子にのり過ぎていた、というのがあるのかもしれない。 話は昨日の夜にさかのぼる、夕食が終わり、いつもの様にクラウドが後片付けをしていた。 その間に明日のバレンタインディに何かいいものはないかと、ネットサーフィンをしていたセフィロスだが、代わり映えのない品物を見ているのに飽きて、つい、いつものお気に入りのサイトを開いてしまったのだ。 それは何のサイトかと言うと… 「あんたさあ、ちょっとは自覚してくれない?」 その声にびくっと身体が強張る。 「あ、後片付け終わったのか?」 慌ててページを閉じようと、マウスを操作する手を上からがしっと押さえられた。 見上げるのは恐いが…つい顔を見上げてしまう。 「ふーん、いつもこんな所で探してたんだ、面白い?」 穏やかな口調、しかしその表情は予想に反せず冷たく無表情だ。 それはそうだろう、セフィロスが見ていたのは「大人のおもちゃ♪」の販売サイト、ネットで申し込めば即日配達、完全包装、秘密厳守♪という3拍子そろった優れもののサイトだ。 品揃えも多く、最新のものが次々に入るし、サイトの作りが過度にエロくなく、明るく楽しい作りなので見ていて飽きない、すっかりここのお得意さまなのだが… 「この間さあ、ザックスとエアリスと話してたんだよね、オレちょっと最近疑問に思う事あってさ。」 抑揚なくしゃべるクラウドは、冗談なく恐い、何を言い出されるか何となく予想がついてるだけ余計に恐い。 「あんたがさ、最近色々やりたがるじゃない?あれって普通の事なのかな、オレまだ子供だからよく解んないんだけど、だからそれまで恥ずかしくて聞けなかったんだけど…」 やば…やっぱその事か… 「オレ、あれって普通のカップルもやってる事だって思ってたんだよね、でさ、恥ずかしいけどザックス達ならいいかって聞いてみたんだよね。」 マウスを持つクラウドの手は、怒りにぶるぶる震えている。 …やばい…あいつら何を言った?… 「…そしたらさ、そんなもの使った事ないって言うじゃない?ザックスなんか慌ててさ『んなもの使えねーよ、悪いじゃんかなんかおもちゃにしてるみたいでさ、オレは普通のセックスで十分』って言うんだよね。」 …あの野郎、今度あったら覚えてろ、おまえだって昔は色々やってたのオレは知っているぞ。 そう思いつつ背中に冷や汗が流れてくる、自覚はあるのだ、まだ10代のクラウドに時々ハードすぎるプレイを要求しているという事に。 セフィロスの名誉のために言っておくと、決して彼はアブノーマルなセックスが好きなわけではない。 今まではそこそこの事は興味半分でやった事はあったが、『ふーんこんなものかと』思ったくらいで、それを自分から相手に要求するといった事はなかった。 どちらかと言うと、セフィロスに飽きられたくなくて、相手の方から言い出していたのだ。 だからノーマルだろうか、アブノーマルだろうがどっちでもよかった、相手に合わせていただけだ。 どうでもよかったのだ、一時の欲望さえ解消されれば、クラウドに会うまでは。 「…クラウド…そのオレはこういったモノを使うのが好きなわけじゃ…」 つい言い方がしどろもどろになってしまう、どう言ったら解ってくれるだろうか。 クラウドだから使いたいのだ、クラウドとのセックスだからいろんな事をしてみたいのだ。 慈しむ様に優しく抱いて、蕩けるような顔をさせてみたい 激しく奪って、獣の様に吠えさせたい 意地悪く嬲って、みだらに自分からねだらせたい 見たいのだ、いろんな顔のクラウドが、この少年が自分の腕の中で時には天使の様に清純に、時には娼婦の様に淫乱に、変わって行く様を余さず見てみたいのだ。 それまでこんなサイトに興味はなかった、使ってみたいとも思わなかった。 しかし、クラウドには使ってみたいのだ、例えば拘束具…これを付けたクラウドはどんなに魅力的だろう、細い手首と足首にぴったり嵌る黒いレザーの拘束具、白い滑らかな肌によく映えて、銀色の鎖もちゃらちゃらと、素肌を美しく彩るだろう… そう思っただけでぞくぞくっときて、ついショッピングカートをぽちっと押してしまうのだ。 「うん、ザックスが言ってた、『にーさんはあーみえてかなりそっちは淡白だったんだよな、昔つき合ってた女達がぼやいてたもんな』って、オレあんたが淡白だなんて知らなかったよ。」 「だからそれは…」 「でさ、エアリスが『えーそれってクラウドが何にも解んないから、好き勝手してるってこと?ひどーいセフィロス!』って言うし…」 「だからそれは…」 言葉に詰まるセフィロスをクラウドがじろりと睨む。 「普通のカップルは使わないんだって拘束具も!目隠しも!荒縄も!ボンテージも!○イブも!アナ○ビー○も!ローソクも!…!!!」 「いやそれはみんな言わないだけで、たまには使う事もあるんだぞ、それにローソクは熱くない専用のを使ってるんだぞ、血の様な色が白い素肌に散っていくのを見るのがすごくそそられて…」 こういう時に何をいっても墓穴を掘るのだが、セフィロスもその例にもれなかった。 「それにオレは緊縛だって、おまえの肌に傷一つ付けない様に気を付けているし…」 しどろもどろに言い訳するセフィロスに、クラウドの機嫌が急降下で下がる。 「そんな問題だって思ってる?」 「いや…たしかにちょっとお前にはハードだったか…」 「ちょっと?」 「いや、随分…でも気持ちよかったろ?」 こういうのを人は余計な一言というのだ、言いながらセフィロスはそれを自覚していた。 「セフィロス?ふーんそういうつもりなんだ…」 「いや、だからおまえを気持ち良くしてやりたくて…」 「だからこんなページ熱心に見てるんだね。」 おりしも見ていたのは、『年下の何も知らない相手に緊縛SMプレイをOKさせる口説き方』… 「ふーん、優しく『ちょっと試してみたいんだ、いやならすぐに止めるから、でも大人なら大丈夫なんだぞ』と肩を抱いて口説く…か」 クラウドはぎろっとセフィロスを睨んだ。 やばい、これは本気で怒ってる、非常にやばい。 「いいかげんにしろ!この色欲魔人!!もうあんたなんか知るか!!」 そのあと、どれだけなだめようとしても口も聞いてくれなかったし、寝る時は枕を持ってとっとと客用寝室に行ってしまった。 朝は起きた時から姿は見えず、セフィロスはかなり落ち込んでいるのだ実は。 ぜっかくのバレンタインだというのにな… 予定では今年は去年と違って、家でゆっくり朝から二人きりの、甘ーいバレンタインのつもりだったのに… 甘ーいバレンタインとはもちろん、朝のベッドのおはようのキスに始まり、そのまま嬉し恥ずかしバスタイム、朝食前に一戦交えて、クラウドの体調不良を理由に学校を休ませ、朝食後休憩しながらリビングで戯れる、昼食を取ったらカウチで昼寝、起きたら恋愛映画なんか見ながらいちゃついて、気分が乗ったらそのまま突入して、ついでソファーに拘束して、恥ずかしがるクラウドを明るい陽射しの中で美味しく賞味して、疲れたクラウドが寝ている間に夕食の用意をして、ふろ場にシャンパンを持ち込んで、楽しく二人でバスタイムを満喫し、寝室に場所を移して夕食を取ったあとには、クラウドにボンテージを着せて本格的に楽しもう… 等という事を妄想しながら、必要物品をそろえていた為に、すっかりクラウドが来たの気付かなかったのだ。 あーあ、去年のバレンタインはよかったな…いかん、そんな事を思うからいかんのだ、調子に乗り過ぎていたのは事実だから、とにかくクラウドの機嫌を治さなくては… 家に戻ると奥に灯りがついているようだ、おそるおそる玄関をあけるが、クラウドはでてこない。 「クラウド?」 真っ暗なリビングにチョコと、花束を置くと灯りのついているダイニングに向かった。 「クラウド?」 ダイニングにもクラウドはいない、心にすきま風を感じながら、それでもとキッチンを覗く。 「クラウド?」 いきなり後ろから目隠しをされた、柔らかい掌、少し甘い体臭…すぐに誰だか解る。 ほっとしながらも、ここで気を抜いてはいかんと、緩みかけた頬を引き締めた。 「クラウド?」 問いかける声に、少し怒った様な返事が返ってきた。 「…少しは反省した?」 「悪かった、オレが悪かった…最近調子に乗り過ぎていたのは確かだ、すまない本当に許してくれ。」 我ながら情けないと思うが、これ以上クラウドを怒らせたくない、いや、クラウドに嫌われたら生きていけない。 くすくすと笑う気配を背中越しに感じる、ちょっとしゃくだが少しは機嫌が直ったのだろうか? 「他に言う事は?」 「あ、それと…おまえが嫌ならもうしない、普通のセックスしかしないから…」 セフィロスが焦って言いかけた時に、クラウドが今度は甘える様に抱きついてきた。 「ふーん、残念…オレ頑張ってこんな格好したんだけどな。」 回る腕が何も着ていないのにびっくりして、慌てて振り向こうとすると、クラウドが強く静止した。 「まだだめ、目をつぶってて、オレがいいって言うまで。」 …まさか…裸なのか?? セフィロスは言われた通りに目をつぶった、クラウドが離れる気配を感じる 「もういいよ、目を開けて。」 正面から聞こえるクラウドの声に、恐る恐る目をあけると… 「クラウド…おまえ…」 「なんだよ、文句ある?」 「いや、嬉しいが…どうして。」 しどろもどろのセフィロスに、クラウドがにーっこり笑いかける。 「バレンタイン特別サービス、世の男の憧れ『裸エプロン』嫌い?」 そうクラウドは素肌にエプロンをまとっただけ、それもピンクのフリフリレースがたくさんついたロリーター仕様のエプロンだ。 「いや、嬉しい、とういうか…ちょっと感動している、お前本当によく似合うな、すごく可愛い。」 言いながらもセフィロスはどくどくと、血が上ってくるのを感じる。 クラウドがどうしてこんな格好をしようと思ったのか解らないが、この殺人的な可愛さはどうだろうか。 ピンクのフリルのついた肩ひもから、最近少し肉がついてきたとはいえ、細い二の腕がすんなりと伸びている。 濃いいピンクのリボンで編み上げている胸元の終着点に覗くのは、吸い付きたくなる様な華奢な鎖骨。 二段重ねのレースとフリルの裾から覗く、形のいい白い脚… 目眩を起こしそうだ心臓がばくばくする… めずらしく顔を赤くしたセフィロスを見て、クラウドは満足げににやりと笑った、そして次の瞬間… 「ん、べー!そんな事するわけないだろ?」 思いっきりのアカンベーと共にくるりと振り返ると、裸のはずの背中は、白いチューブトップと白の短パン… 「やーい騙された!このセクハラ教師!!やーい!」 けらけらと楽しそうに笑うクラウドを、セフィロスはあっけにとられて見ていたが、くすっと笑いを漏らすとクラウドに飛びかかった。 「このいたずら小僧!」 笑いながらクラウドの身体を捕まえ、勢いあまって床に倒れ込む。 「このー!どうしてやろうか。」 「ふーんだ、いつもスケベな事しか考えないから引っかかるんだよ。」 クラウドはまだけらけら笑ってる、昨日あれから口もきいてもらえなかったのに、セフィロスを見て笑っている、薄紅色の可愛らしい口元… セフィロスはゆっくりと唇を重ねた、クラウドもゆっくりセフィロスの首に腕を回し、その唇を受け止める。 何度も顔の向きを変えながら、じっくりとお互いの熱を確かめあった。 「クラウド、もう怒っていないのか?」 息の上がったクラウドからゆっくり唇を外し、セフィロスが自信なげに問いかける。 クラウドはちょっと照れくさそうな顔をした。 「うん、最初はえー!って思ったけどザックスが後でさ『そこまでしたいって思うのはお前だからだぞ、オレにーさんがつき合った連中知ってるけど、気を引こうとして色々試したけど、一回しかつき合ってくれなかったってみんなぼやいてたもんな、なんせ一月もたなかったぜ、相手がSMとか3Pとか何やったって』って。」 あのやろう、そこまでばらすな! 焦るセフィロスにクラウドがクスクス笑う。 「でエアリスがね『でもちょっと調子に乗ってるんじゃない?少し懲らしめたら?』って言うんで、ちょっとからかったんだよ。」 「勘弁してくれ、オレが悪かった、おまえが怒ると心臓に悪い。」 「でも嬉しかった?裸エプロン。」 笑うクラウドの髪をかきあげ、セフィロスは極甘の声で答えた。 「当たり前だ…心臓が止まる位、嬉しかったぞ。」 クラウドの身体がぴくんと跳ねる、蒼い瞳が妖しく輝き、セフィロスに顔を近付けると耳元で囁くように言った。 「…なら…今からほんとうにしてやるよ、裸エプロン…」 セフィロスはふっと笑うと、ピンクのエプロンに手をかける。 「いい、必要ない、それより夕飯前だが…このままいいか?」 「キッチンで?床だと痛いからリビング行こうよ、それと夕飯の後片付けしてくれる?」 「OK!うまく脱がせば裸エプロンになるな。」 セフィロスのいたずらな手が、エプロンの下を這い回る。 「このスケベ!やっぱりやりたいくせに…いいよ好きにして、愛してるセフィロス。」 「オレも愛してる、クラウド。」 もう一度重なる唇、セフィロスはそのままクラウドを抱き上げると、リビングに消えて行った。 あとに残ったのは脱ぎ捨てられた白い短パンと、チューブトップ… クラウドが翌日学校を休んだのは言うまでもない、セフィロスのバレンタインは今年も大満足で終わったのであった。 TOP |
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